女神記 – 桐野 夏生

陰の巫女・ナミマとその姉で陽の巫女・カミクゥの物語。
ナミマと彼女を裏切った男・マヒトの物語。
そして、イザナミとイザナギの物語。

ナミマが育った南の島は、琉球の創世神アマミキヨが降りて国造りを始めたとされる沖縄県久高島をモデルとしているようです。
久高島にはいまも女性を守護神とする精神文化を伝え残しており、つい最近まで神女となるための通過儀礼イザイホーが行われていたそうです。
ナミマは掟を破り、マヒトは”家”のためにナミマを裏切り、妹と夫の過去を悟ったカミクゥは海に身を投げます。
イザナミは、イザナギに裏切られ、黄泉の国で毎日千人の元夫の”後添い”を殺し続けます。

イザナミはイザナギとの交合により、日本を形づくる島々や森羅万象の神々を産みました。
けれども、日本の国造りに関わるアマテラスを始めとする神々(人神)は、イザナミと離縁した後に、穢れを禊いだイザナギが”単性生殖”で産み出しました。
男と女、生と死、陽と陰、昼と夜、明と暗、浄と穢、天と地。
前者は尊く後者は卑しいとされ、古事記の世界でも、女神は陰であり、創造は男神の専任事項とされたのです。
大阪市長の例の発言も、きっとこうした精神が根源にあっのでしょう。
しかしこの物語で、イザナミは終始イザナギより優位に立ち、ナミマはマヒトを赦すことになります。
桐野は、きっと女性の本質的な強さと尊い役回りを描きたかったのでしょう。

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