中村俊裕著「世界を巻き込む」–貧困層が必要とする技術を。

新興国の国民すべてが、中間層にまで持ち上がるなんて妄想に過ぎない。
豊かな富裕層と経済成長に取り残されたボトムの人たちが残る。
1日2ドルの生活費が、3ドルに持ち上がるかも知れないが、物価は2倍になるかも知れない。
それでも、電気も水道もガスも使えずに暮らす人達はいなくならないだろう。

本書の著者は、ボトムと言われる貧困層とのラストマイルをつなぐビジネスモデルを創った。

電気が通じない地域では石油ランプで灯りをとる。ラストマイルの石油は都市部より高く、生活費を圧迫すると言う。
有害な煤が出るし、火災の原因にもなる。
水は、毎日往復何時間もかけて汲みに行く。女性や子どもたちの仕事となり、勉強する時間を制約する。
調理は薪で火をおこす。女性は水汲みと火起こしで一日が終わってしまう。
薪は森林を減らし、CO2を増やす。

こうした暮らしはローテクの導入により改善される。
ソーラーライト、ペットボトルを利用した転がせる水運搬ドラム、調理コンロなど。

必要な人たちに必要な技術を届ける。
国連を含む政府系機関の経済援助では、なかなか実現できないこと。
途上国の首都には立派な道路や空港ができるかも知れないし、資金の半分が賄賂に消えてしまうかも知れない。
取り残されれるのは、ラストマイル。

著者が代表を務めるコペルニクという組織では、フィードバックを重視する。
届けた技術がほんとうに必要なものだったのか、役に立ったのかモニタリングしながら、改善を重ねているという。
しかも、こうしたローテク道具を無料で配るのではなく、ボトム層が購入できる価格設定で購入してもらう。
一方的な、押し付けの支援ではなく、ボトム層の自立とインボルブを目指している。

新興国の一人あたりのGDPが、先進国並みになることは、資源の有限性などから、理論的に不可能なことだ。
先に富める者が富み、取り残される人たちのほうがマジョリティになるは確定された未来だ。
彼・彼女たちの暮らしを少しでも良くする努力は、先に豊かさを得た人々の義務になっていくだろう。
そして、それがビジネスとして成り立つのなら、それも良いことだと思う。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です