メディチ家と安倍晋三 – 若桑みどり「フィレンツェ」からのインスピレーション

若桑みどり著『フィレンツェ (講談社学術文庫)』は芸術作品を通して、
フィレンツェの歴史を紐解く名著。

18世紀、”最後のメディチ”となったアンナ・マリーア・ルドヴィーカは、
フィレンツェの無限の芸術の財宝を
永遠に城外へ持ち出してはならないことを約束させ、
オーストリアに降った。

都市国家として成立以来こんにちまで、
フィレンツェは内輪揉めのほかは
他国の大規模な略奪に会うこともなく、
中世からルネッサンス期の珠玉の遺産を、現代に引き継いでいる。

近代に至るまで、
芸術作品、建築物など象徴的な創作物は、
宗教や世俗権力と何らかの関連があるがために、
反する権力によって、破壊や略奪を受けてきた。

キリスト教も、神聖ローマ帝国も、大英帝国も、ナポレオンも、ナチスも、
大日本帝国も、中国共産党も、
敵対する権力に関連する創作物を破壊・略奪してきた。
タリバンや”イスラム国”は、少し乗り遅れただけだ。

周辺の封建王制に反し自治を通した中世~ルネッサンス期の
ヴェネツィアやフィレンツェは、
「われわれが通常抱いている、
民主的で自由なルネサンスという観念とは
かなり異質なもの」
「だが、それは、今日のわれわれの社会が
自由で民主主義だと言われているのとたいして違ってはいない。」

周囲に絶対権力・独裁による支配が迫っているから、
自国民は、それに対する共和制・民主主義という価値を重んじる。
共和制や民主主義の素晴らしさを高々と謳い、
自国民を惹きつけて、権力を掌握する。

終身独裁官就任前のユリウス・カエサルと
同じように気を遣い、
メディチ家は共和制の名の元に絶対的な権力を勝ち取った。

アドルフ・ヒトラーは?
毛沢東は?
周辺から押し迫る絶対権力に抵抗し、
民衆による政治を推し進めてきたのではなかったか?

いま安倍ちゃんは、
中国の共産党独裁政権より
民主主義の価値観を重んじ、それを謳歌しようと呼びかけている。
押し迫る絶対権力の危機を誇張し、
少なからぬ日本国民を引き寄せている。

少し似てはいないか?