中国では借金してる奴が一番偉いのだ。

  • 6月20日、SHIBOR(上海銀行間出し手金利)が急上昇し、短期で10%を超えた(いまは、ほぼ落ち着いた状態に戻っている)。
  • 「銭荒」(資金不足)という言葉がニュースやネットを飛び交う。
  • 大手・中堅商業銀行、デフォルトの噂。
  • 銀行側がシステムトラブルを原因とするATMの利用停止が、取り付け騒ぎ防止の策と囁かれる。
  • そして、中国株は連続して大幅な下げ。

中国経済の破綻を期待する向きには、恰好な材料が揃った!

多くの人達は、シャドウバンキングを悪者にする。
資金は余っているのに、正しく流動しないで、良くないところに留まっている、と。

ぼくは経済の専門家ではないので、実務上の経験を披露したい。
中国で中小企業が銀行からまとまったお金を借りることは、そう簡単ではない。
かつての日本の銀行同様、固定資産くらいしか評価しない。
事業拡大のための資金を調達するには、銀行からの融資よりも、個人・エンジェル・VC・PEなど様々なタイプの投資家から出資を受けるほうが、むしろ簡単なのだ。

事業拡大資金なら、投資を受けることもできようが、日常の運転資金となるとそうもいかなくなる。

銀行が貸してくれないと、知人友人縁故を頼りに資金を融通してくれるところを探すことになる。
その一つにシャドウバンキングがあり、裕福な個人がいる。

とは言え、シャドウバンキングの金額的な最大顧客は地方政府や地方の開発を託された中小ディベロッパーだろう。

地方政府は相変わらず農地や荒地を開発して、工場や企業を誘致し、地元雇用を確保し、地元住民の所得向上を目論むからこそ、家賃が以前の百倍になろうと、彼(彼女)たちが住むような住居までも用意しようとする。
そのための資金は、元住民や耕作者から分捕った土地使用料の転売代金と若干の公費しか無いわけで、ディベロッパー(開発事業者)が資金を肩代わりしなければならない。

イケてるロケーション、スマートな地方政府などであれば、香港や台湾資本を含む大手ディベロッパーが手を挙げてくれる。
でも、そんな地方開発が中国のいたるところで行われているわけで、こりゃイケてない、企業誘致もままならないから、投資回収できない、みたいな開発事業のほうが、数としては圧倒的に多い。

そんな事業には銀行としてお金を貸せないから、迂回融資的シャドウバンキングが蔓延るわけだ。

こうした地方開発事業は、すごく早くて3年、一般的には10年くらい経たないと、キャッシュ・インの状態にはならない。
その間は当然、資金の流動性が無くなってしまうで、プロジェクトの途中で資金繰りがつかずに頓挫するケースも少なくない。この場合、プロジェクトの引き取り手が見つからない限り、現金化することはできないわけだ。

話は変わるが、中国では債務を持つものが最もパワーを持っている。
借金してる奴が一番偉いのだ。

売掛金をなかなか回収できないことは、中国で仕事をやったことがある日本人なら誰でも経験済みだろう。借金も基本は一緒。返せないから返さない、この論理が意外なほど中国では通用する。

中国では企業間貸借は法律上認められておらず、銀行を通した委託貸付にしなければならない。だが、銀行から手数料をピンはねされるのがイヤで、実務上企業間のお金の貸し借りは直接行われることも多い。

これは、法的保護外なので、会計上は貸付金にせずその他未収金で計上され、借主が返さなくとも訴訟沙汰にしにくい。

お互いの信頼関係で、貸し借りするので、バックレるということは少ないのだが、期限まで返済する(できる)ことは稀れ。契約書の更新もされず、「出世払い」ということで放置されている債権・債務が驚くほど多い。
これもまた、資金の流動性が損なわれる一例だ。

ただ、不思議なことに、こうした債務は長い目で見れば、取り返せる場合が多く、中国の企業家にとっては日常的な話なのだ。

中央銀行である中国人民銀行は、「資金は足りなくないのだから”金融緩和”の必要はない。むしろ、資金が滞らないように流動性の管理を徹底しなさい」と銀行に説教を垂れた。

資金の流動性を確保するためには、

  • まず、地方の開発資金を銀行が正規融資するように仕向けるべき。国際会計基準などお構いなしで、出世払いで返済してもらえば良い、くらいの覚悟をもって。
  • 事実上凍結されている新規上場を再開させなければ。IPOでのエグジットを目論んで、中国企業にたくさんの資金が流入したままだ。株式公開でもしなければ、資金は動かない。ま、それが怖いから、新規上場を凍結しているわけでもあるのだろうけど。。